2018年2月16日金曜日

十字架、それは過去のことではなく



 教会の暦は2月14日(灰の水曜日)から四旬節に入りました。イエス・キリストの尊い十字架のできごとを覚える大切な40日間を過ごします。

 イエスの十字架は2000年前に起こった出来事ですから、過去のことと言えないことはありません。しかし十字架という出来事はいつの時代にも、どんな人にも起こっていると言わなければなりません。なぜなら、十字架とは重荷や苦難という意味も持っているからです。

 だれでも、他の人とは異なる自分自身の十字架というものを背負っているはずです。この世に生きている限り、放り出すことのできないものです。その自分だけの十字架を見つめることは辛さを伴うものですが、しかしもっと私たちが見つめなければならない十字架があるのです。それは、私たちのそれぞれの十字架を一緒に背負ってくださっているイエス・キリストの存在です。まるで2000年前のできごとのように、いまも私たちひとり一人の十字架を一緒に担ってくださっているのです。

 この十字架を見出す人には、限りない慰めと励ましが与えられるに違いありません。いやそれだけでなく、希望と喜びがもたらされるのです。なぜなら、十字架をしのぶ四旬節の後には、イエス・キリストの復活、すなわち絶望や悲しみに対する勝利が訪れるからです。

 それぞれの教会の礼拝へどうぞお越しください。

2018.2 
日本福音ルーテル教会
総会議長 立山忠浩